アーカーシャ・クロニクル

 第21話  旅立ち

 

 風守りの言葉に、ヴィル達は言葉を失っていた。
トゥセ「お、俺の言った通りじゃないっすかッ!や、やっぱ。このヒト、ずっと、団長の事を思い続けて」
 しかし、風守りのサリアはトゥセの言葉を無視した。
サリア「ヴィルさん。今なら大丈夫です。今なら、戻れます。引き返しましょう、ヴィルさん。ククリ島なんて、行ったら死んでしまいます」
 と、サリアは切なげに言うのだった。
ヴィル「悪いが・・・・・・」
 そう言って、ヴィルは剣を抜いた。
ヴィル「俺は前に進まねば-ならない」
サリア「本気・・・・・・なんですね」
ヴィル「ああ。俺の事を思うなら、放っておいてくれ」
サリア「出来ると思いますか?」
ヴィル「なら、一緒に来てくれ」
 とのヴィルの言葉に、サリアは言葉を詰まらせた。
トゥセ「お・・・・・・いけるか?」
アーゼ「お前は黙ってろ・・・・・・」
 しかし、サリアは首を横に振った。

サリア「無理です。何を言われようと、私は-あなたを危険な目に遭わすわけには-いきません」
ヴィル「君じゃ俺には勝てない」
サリア「はい。陸地では-そうでしょうね・・・・・・。ですが、この嵐の海の上では違います」
 すると、サリアの体が宙(ちゅう)を浮いた。
サリア「今の私は、昔の無力な頃とは違うんです、ヴィルさん」ヴィル「・・・・・・みたいだな」
サリア「もう一度、聞きます。大人しく、引き返してください」
ヴィル「無理だ」
サリア「・・・・・・そうですか、残念です。なら・・・・・・力づくでいかせて-もらいます」
 そう言って、サリアは浮遊したまま、船から離れて行った。
トゥセ「あれ?どういう事?」
ヴィル「トゥセッ!来るぞッ!」
 次の瞬間、風の刃がサリアから放たれた。
トゥセ「ッ!」
 それを何とか、トゥセはカードで相殺(そうさい)した。
アーゼ「まずい、遠距離から風で攻撃されたら、なすすべが無いッ!」
トゥセ「向こうの魔力が尽きてくれないっすかね?」

ヴィル「無理だな。この嵐だ。風の精霊が大量に舞って居るだろう。より少ない魔力で攻撃が可能だろう」
 すると、遠方のサリアから声が響いた。
サリア『ヴィルさん、お願いです。もう、止めて下さい。どうか・・・・・・』
トゥセ「だ、団長・・・・・・今回はシャレに-なってないっすよ」
ヴィル「・・・・・・。サリアッ!お前の目的は何だッ!もし、俺を引き留めたいのなら、俺だけが残ろうッ!」
 と、ヴィルは叫んだ。
サリア『・・・・・・ヴィルさん。そういう問題では無いのです。もう、こうなってしまった以上、全員に帰って-頂きます』
ヴィル「そうか・・・・・・」
 と、ヴィルは-うつむいた。
ケシャ「ヴィルさん。私の念力でヴィルさんを空に飛ばす事が出来ます。やりますか?」
 と、茶猫のケシャは言った。
ヴィル「頼む」
ケシャ「分かりました・・・・・・。ただ、私はヴィルさんに浮遊の魔力を与えるだけなので、実際に魔力を細かく操作するのは、どうか-ご自分で」
ヴィル「ああ」
ケシャ「では・・・・・・」
 すると、ヴィルの体が浮き上がった。

 そして、ヴィルは感覚を確かめ、一気にサリアの元へと飛んでいった。
 嵐の空の中、ヴィルとサリアは対峙(たいじ)していた。
サリア「どうしてッ、どうしてですかッ?何でゴブリンのために-そうまでして」
ヴィル「ゴブリンだからじゃ無い。俺は-それが誰でも、不当に迫害を受けている者のためなら、剣を取り、その者を守るだけだ」
サリア「そう・・・・・・なんですね。私を助けてくれたのも、結局は、ゴブリンを助けたのと同じなんですね」
ヴィル「ああ・・・・・・そうだ」
サリア「分かってました。でも、分かりたくなかった。あなたをずっと待っていたんです。ずっと」
ヴィル「・・・・・・知らなかったよ」
サリア「・・・・・・でしょうね。あなた、あなたは・・・・・・。私、私は・・・・・・どんな想いで・・・・・・。でも、もう、どうでも-いいんです。結局、現実を見せつけられただけ。叶わぬ夢なら、いっそ、諦めてしまった方が楽。そうは思いませんか?」
ヴィル「悪いが・・・・・・諦めるワケにはいけない夢もある。俺は・・・・・・ククリ島へと行かねば-ならない。それは夢とも言えるかもしれない。だが、俺は絶対に、諦めるワケには行かない」
サリア「・・・・・・駄目ですね。噛み合いませんね」
ヴィル「そうだな・・・・・・」
サリア「多分、私じゃヴィルさんを上手く気絶させられ-ないと思います。でも・・・・・・万一、ヴィルさんに後遺症(こういしょう)が残ってしまっても、私が面倒を見ます-から」
ヴィル「そうか・・・・・・。だけど、君に-そこまで迷惑はかけられないよ」
 とのヴィルの言葉に、サリアは顔を悲しげに-しかめた。
サリア「どうしてッ、どうしてッ!そこまで、私を否定するんですかッ!どうしてッ!ウッ、ウアアアアアアアアアアッッッ!」

 との悲痛な叫びと共に、周囲の嵐が増し、大量の風の刃がヴィルに向かい放たれた。
 それをヴィルは剣技『護衛陣』で防(ふせ)ぐのだった。

 

 一方、波は-どんどんと高くなり、漁船は今にも海に飲まれそうに-なっていた。
 トゥセ達は必死に漁船に掴(つか)まっていた。
トゥセ「チクショウッ!団長のバカーッ!どうせ、怒らせる-
ような事を言ったんだーッ!」
ケシャ「あ、あれは怒りますよ、女性なら・・・・・・」
 と、茶猫のケシャはヴィルを浮遊させるための魔力を送りながら、言うのだった。
トゥセ「な、何て言ったんだよ?なぁ」
ケシャ「今は-それどころじゃ無いでしょう。このバカ。それに、デリカシーのかけらも無い」
トゥセ「え?えぇ・・・・・・?け、結構、ケシャって、毒舌」
ケシャ「問題ありますか?」
トゥセ「あ、ありません・・・・・・」
 そんな中、嵐は-さらに強まって行くのだった。

 

ヴィル「サリアッ!止めろッ!このままじゃ、あいつらが、死んでしまうッ!サリアッッッ!」
 と、叫ぶも、サリアは叫び続けるだけで、ヴィルの言葉は届いていなかった。
 しかし、それでも、半自動的に風の刃がヴィルに向けて、放たれてくるのだった。
ヴィル(駄目だ・・・・・・力に飲まれている・・・・・・ッ、クソッ。俺のせいなのか?だとしても、力の暴走を止めないと。あの杖だ。あの杖を破壊しよう。そうすれば、多分)
 と、ヴィルはサリアの手にする杖を見て-思った。
 そして、ヴィルは一気にサリアに近づこうとした。
 ヴィルは次々と風の刃をかいくぐり、サリアに接近し、剣を振った。
 しかし、剣はサリアの周囲に展開されている風のバリアに阻まれ、ヴィルは全方位に放たれた風に吹き飛ばされた。
ヴィル「ッ・・・・・・何て力だ」
 ヴィルの全身は風により、無数の傷が出来ていた。
 しかし、深い傷は無く、問題は無かった。
ヴィル(ともかく、あのバリアの弱点を探そう・・・・・・)
 そして、ヴィルは様々な方面から、バリアへと攻撃を仕掛けていくのだった。

 

 その頃、漁船は-さらに危険な状態となっていた。
アーゼ「モロンッ!レククちゃんを連れて、早く、中に入って
    ろッ!早くッ!」
モロン「で、でも・・・・・・」
 モロンは必死に船にしがみつき-ながら答えた。
アーゼ「いいからッ!合図をしたら、一気に走れ」
モロン「う、うん」
 そして、モロンはレククと黒猫にゴブリンの言葉で説明した。
アーゼ「今だッ!」
モロン「うんッ!」
 そして、モロンは急いで、船内への扉を開いた。
 レククと黒猫は急ぎ、そこへと飛び込もうとした。
 しかし、次の瞬間、大きな波が漁船に打ちよせ、レククをさらっていった。
 一方で、黒猫は手すりの部分に叩き付けられ、気絶していた。
モロン「あ、ああ・・・・・・」
 と、モロンは呆然(ぼうぜん)自失(じしつ)となった。

トゥセ「おいッ!何が起きたッ!何がッ!」
カシム「レ、レククさんが海に・・・・・・」
 その時、遠方で光が起きた。

 

サリア「あ・・・・・・」
 ヴィルの一撃により、サリアの結界は砕かれ、杖は真っ二つに割れた。
 しかし、次の瞬間、ヴィルに風の衝撃波が放たれた。
ヴィル「ぐぅッ・・・・・・だが・・・・・・嵐は弱まった・・・・・・」
 サリアは再び、バリアを構築し、その中で踊っていた。
ヴィル「サリアッッッ!目を覚ませッッッ!」
 と、叫び、ヴィルは再び、サリアへと向かうのだった。

 

 一方、嵐は静まってきた-ものの、波は弱くはなく、レククは溺(おぼ)れていた。
トゥセ「チクショウッッ!」
 と叫び、トッセは海に飛び込もうとした。
アーゼ「やめろ、トゥセッ!」
 と言って、アーゼはトゥセを止めた。
トゥセ「放せッ、アーゼッ!このままじゃ、レククが」
アーゼ「お前まで死ぬぞッ!」
トゥセ「だからって」
 すると、その横で何かが海へと飛び込んだ。
 それはモロンだった。
 服を脱(ぬ)いだモロンが海へと身を投げ出したのだった。
トゥセ「モロンッ!」
アーゼ「な、モロンッッ!」
 モロンは必死に、溺(おぼ)れるレククのもとへと泳ごうとしていった。
 しかし、波に飲まれかけ、上手く辿(たど)り着けなかった。
モロン(レクク・・・・・・ちゃん・・・・・・)

 そして、モロンは運も味方し、何とか、レククの手を掴(つか)んだ。
 しかし、そこでレククと共に、海に沈んでいった。
トゥセ「チクショウッッ!」
 とのトゥセの悲痛な叫びが海に木霊(こだま)するのだった。

 

 一方、サリアの攻撃は熾烈(しれつ)を増していた。
 風の刃は追尾(ホーミング)機能を備(そな)えだし、ヴィルをひたすら追いかけていった。
 それをヴィルは次々と叩き落としていった。
ヴィル「ッ・・・・・・どうして、こうなるんだッ!」
 と、叫び、ヴィルは遠距離用の剣技『飛燕(ひえん)』を、三連撃で放った。
 すると、風のバリアにヒビが入り出した。
 そして、ヴィルは一気にヒビに剣を突き立て、再び、バリアを砕いた。
 しかし、その時、サリアの手はヴィルの方に向けられており、
次の瞬間、サリアの風とヴィルの魔力が激突するのだった。

 

 その時、カシムは呆然(ぼうぜん)としていた。
カシム(わ、私は・・・・・・どうすれば・・・・・・)
 すると、風の精霊が-ささやいた。
精霊『カシム・・・・・・思い出しなさい。かつての遠い前世の記憶を。貴方(あなた)は-あの二人に無量の恩が-あるのですよ』
カシム「無量の・・・・・・恩・・・・・・?」
 気付けば風の精霊は消えていた。
 しかし、カシムの心に、その言葉は響き、いつしか、カシムの頬を涙が伝っていた。
カシム「私はッ!」
 そして、カシムは意を決し、服を脱ぎ、海に飛び込んだ。
アーゼ「カシムさんッ?」
 カシムは必死に泳ぎ、そして、海に潜った。
 不思議な事に、レククとモロンの二人は浅い中で止まっていた。
 カシムの手が二人に触れた瞬間、カシムに一つのビジョンが流れ込んだ。

 

 そこは光(ひかり)差(さ)す山だった。
 そこで、一人の少年がホウキで掃除をしていた。
少年「よいしょ、よいしょ・・・・・・」
 と、少年は日が暮れるまで掃除をしていた。
 すると、一人のゴブリンの小女が-しょんぼりとしながら歩いて来た。
少年「あれ?君、どうしたの?」
ゴブリン「・・・・・・ミロク様に会いに来たの。でも、難しくて良く分からなかったの・・・・・・」
少年「そっか。僕もなんだ。でもね、こうして、お掃除をすると良い、ってミロク様が-おっしゃって-くれたんだ。一緒にやろうよ」
 そう言って、少年は別のホウキを持って、ゴブリンの少女に渡した。
 それから、少年とゴブリンの少女は仲良く、毎日、掃除をするのだった。
 ある日、一人の老人が歩いて来た。
 しかし、老人は目が不自由で、耳も良く聞こえず、途方にくれていた。
少年「おじいさん、大丈夫?」
と、少年は老人の手をなぞって、そう伝えた。
老人「私は・・・・・・偉大なる教法(きょうぼう)が解かれると聞き、遙(はる)か、東方より、来ました。ですが、この体では修行も何もする事が出来ません。悔しいのです。後、数十年、遅く、生まれていれば」
 と、涙ながらに語るのだった。

少年「じゃあ、おじいさん。一緒に、お掃除しようよ。ほら、ちりとり」
 そう言って、少年は-ちりとりを老人に渡すのだった。
 そして、老人は座ったまま、ちりとりを持って、掃除の手伝いをするのだった。そして、老人は毎日、それを続けた。
老人(ああ・・・・・・そうか。このチリは心のチリなのだ。修行とは常に存在するモノなのだ。何も、苦行、勤行(ごんぎょう)だけでなく、日々の生活の中にこそ真の実践があったのだ・・・・・・)
 と、ついに、老人は悟るのだった。

 

カシム(あの老人は私だ。前世の私なのだ。そして、今の私が-あるのだッ!何という事だッ!私を導いてくれたのは、この二人だったのだ!モロンさんに、レククさん、この二人こそ、私にとり、恩師なのだッ!)
 そして、カシムの意識は現実に戻った。
 カシムは渾身(こんしん)の力をこめて、モロンとレククを抱き寄せ、浮上した。
カシム「プハッ、ハァ、ハァッ!」
 カシムは顔を出し、息をした。
 それを見て、トゥセは叫んだ。
トゥセ「アーゼッ!ロープをッ!」
アーゼ「ああッ!」
 そして、アーゼは頑丈なロープをトゥセに渡した。
 トゥセはロープを持ったまま、一気に海へと飛び込んだ。
 それから、トゥセはカシムのもとへ泳いでいき、カシム達にロープを必死に-ゆわいた。
トゥセ「ッ、アーゼッ」
 と、トゥセは沈みそうになりながらも、叫んだ。
アーゼ「ああッ!」
 と、答え、アーゼはロープを引っ張った。
ギート「加勢するぞいッ!」

 と、叫び、ドワーフのギートも、アーゼと共に、ロープを引っ張った。
 その様子を黒猫に憑(つ)いたトフクは、薄れた意識の中、見守っていた。
トフク(何と言う事じゃ・・・・・・。こんな事が-あるのか。今、人間、エルフ、ドワーフ、小人、そして、ゴブリンが一つとなっておる。何と言う事じゃ・・・・・・)
 そして、トフクの霊体は涙をこぼすのだった。
アーゼ「オオオオオッ!」
ギート「ヌオオオオオッ!」
 と叫びながら、二人は渾身(こんしん)の力をこめて、カシム達を引き上げていった。
 そして、ついに、カシムとモロンとレククが甲板に引き上げられた。
黒猫「レクク様ッ」
アーゼ「モロンッ、レククちゃん。大丈夫かッ!」
 と、叫ぶと、二人は口から水を吐(は)いて、息をし出した。
カシム「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・大丈夫そうです」
 すると、トゥセが甲板へと倒れ込(こ)んで来た。
トゥセ「お、お前ら・・・・・・俺を忘れないでくれ・・・・・・」
アーゼ「あ、悪い」
トゥセ「しっかし、後は団長だけだな・・・・・・」

 と、トゥセは仰向(あおむ)けに-なりながら言った。
アーゼ「大丈夫さ。団長なら、きっと、無事に帰ってくるさ」
 と、アーゼは遠く、ヴィルとサリアの方を見据(みす)えて、言うのだった。

 

 ヴィルは風の中にあった。
ヴィル(ッ・・・・・・全身が引きちぎれそうだッ!息も出来ないッ!何も見えないッ!)
 そう思う中、何かがヴィルの横を通った。
 それは風の精霊だった。
精霊『ヴィル・・・・・・。力を貸しましょう・・・・・・。目を開ける必要は-ありません。感じなさい。そのオーラを。風の破れを・・・・・・』
ヴィル(風の・・・・・・破れ・・・・・・?)
精霊『心を空(くう)にした時、見えるモノも-あるのです』
ヴィル(心を空に・・・・・・)
 そして、ヴィルは心を深く深く、内面へと向けて行った。
 今、ヴィルは自身の内宇宙の中に-あった。
 その果てに、泣きじゃくる幼いサリアが居た。
サリア「ヒックッ・・・・・・ヒックッ・・・・・・」
ヴィル「ごめん・・・・・・な」
 そう言って、ヴィルはサリアの頭を-かつてのように優しく撫(な)でるのだった。

 

 次の瞬間、風が一瞬、晴れた。
 その一瞬でヴィルは剣技『虚空斬(こくうざん)』をサリアに放った。
 そして、風の魔力は次々と連鎖的に切断されていき、サリアは魔力制御を行う事が出来なくなった。
 凍れるような時の中、ヴィルは-落ちていくサリアに近づき、その手を掴(つか)んだ。
サリア『ヴィルさん、好きでした・・・・・・ずっと』
 とのサリアの心の声がヴィルには聞こえた気がした。
ヴィル『ごめん・・・・・・な。君の想(おも)いには答えられない』
 とのヴィルの言葉に、サリアは悲しげに微笑み、気を失うのだった。
 そして、嵐は晴れた。
 風一つ無い空で、ヴィルは-眠るサリアを抱きかかえていた。
 ヴィルは辺(あた)りを見渡し、一つの漁船を見つけた。
 それは偶然-近くに居た漁船だった。
 ヴィルは-そこまで飛んでいき、驚く漁師達の中、サリアを降ろして、去って行くのだった。

 

ケシャ「・・・・・・戻って来ました」
 と、茶猫のケシャは告げた。
 そして、ヴィルの姿が見えて来た。
トゥセ「オォォォォイッ!団長ーーーーーッ!」
 と、トゥセは手を大きく振り、叫んだ。
 そして、ヴィルが甲板に降り立つや、皆が-それを囲んだ。
 その様子をカシムは心を躍(おど)らせながら見ていた。
カシム(ああ・・・・・・私は誇りに思う。この人達と出会え、共に旅を出来る事を誇りに思う。この人達の名は恐らく、歴史に残る事は無いだろう。だが、それでも、この人達の物語は、語り継がれ、吟遊詩人(ぎんゆうしじん)-達(たち)により、伝承されていくだろう。そして、それは歴史の裏の物語であり、戦記や史記とは呼ばれないだろう。亜大陸ランドシン-にての伝承・・・・・・伝記。そう。ヒトは言うだろう、その物語を・・・・・・)
 それから、カシムは光差す空を仰(あお)ぎ見て言うのだった。
カシム「ランドシン伝記・・・・・・と」

 

 こうして、ヴィル達の-長い長い物語は始まったのであった。

 

 

ランドシン伝記 第2章〈ククリ島・戦乱-編〉へと

 

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