アーカーシャ・クロニクル

  第?話 呪術者と狂戦士A

 

 夜の街を特殊部隊が音も無く、進んで居た。
 そして、手信号で合図を互いにし、目標の建物の周囲に配置した。
 出入り口を含め、屋上なども押さえてあり、後は踏み込む-だけだった。
 そして、迷彩のかけられた仮面をかぶったロータ・コーヨの合図により、突入が開始された。
 防音の結界が瞬時に張られ、中での発砲音は外へと響かなかった。もっとも、ロータの部隊は-このような任務では、基本ナイフや弓(もしくはサプレッサー付き銃)で殺傷するように訓練されているので、発砲音は敵のモノのみだった。
『一階部、クリア』
『三階部、クリア』
『二階、西、クリア』
『二階、東、クリア』
 と、次々と制圧の報告がロータに届いていた。
『二階、中央、クリア。目標、捕獲(ほかく)』
 との念話にロータは反応した。
ロータ『よし、目標を連れ-ただちに脱出する。我々を辿(たど)れる痕跡(こんせき)は残すな。また、目標以外は置いておけ』
とのロータの言葉に、『了』との短い返事が-かえってきた。
 そして、ロータ達は煙のように場を後にするのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
 一人の男が頭巾をかぶせられ、拘束されていた。
 とはいえ、男は猿ぐつわ-をされておらず、汚い言葉を罵(ののし)っていた。
 そんな中、ロータと部下達と、トリアが入って来た。
トリア「あらあら、ゴフサちゃん、可哀相に」
 と、トリアは頭巾をかぶせられた男に対し、言った。
ゴフサ「てめぇッ、エルダー・トリアかッ!チクショウッ!俺を売りやがったな」
 と、ゴフサは頭巾ごしに叫ぶのだった。
ロータ「ああ、ちょっと、いいかな。私はロータ・コーヨ大佐だ」
ゴフサ「ロ・・・・・・ロータ・コーヨ。本人かよ・・・・・・」
 さしものゴフサもロータの前では少し、大人しさを見せた。
ロータ「まぁ、聞きたい事が-あるんだ。いや、君としては、しゃべりたくないだろうけど、我々としては-しゃべってもらわないと困るんでね」
 とのロータの言葉にゴフサは震えた。
ゴフサ「うるせぇッ!仲間を売るかッ!よくも、やってくれたなッ!」
ロータ「いやいや、君の仲間は-ほとんど生きてるんじゃないかな?脳は傷つけて無いし。あの後、救急車も来たし。まぁ、神経とかに障害が残るかもしれないけど、命には別状は無いと思うよ」
ゴフサ「・・・・・・お前、頭おかしいのか?」

ロータ「いやぁ、上司の命令でね。報復合戦は面倒だから、極力、殺すなって。ただ、ラース-ベルゼ戦の私を知っているなら話は早いと思うが、私は殺す時は何のためらいも無く、殺すよ。残念ながら、漫画や映画のヒーローじゃないんでね」
 とのロータの言葉にゴフサはツバを飲んだ。
ゴフサ「・・・・・・殺せ。どう脅されようと拷問されようとも、仲間は売らない。祖国を失った俺にとり、それだけは守らねばならない」
ロータ「・・・・・・大した根性だ」
トリア「まぁまぁ。ロータ大佐。ここは私に任せて」
ロータ「拷問を引き受けるのか?」
トリア「まぁ、ほんの半日ほど、くださいな。すぐ、口を割らせますから。グッフッフ」
ゴフサ「おい・・・・・・ちょっと待て。何をするつもり」
トリア「じゃあ、ロータ大佐、ここは私に任せて」
ロータ「あ、ああ・・・・・・」
 そして、ロータと部下達は部屋を出て行った。
 数分後、トリアは部屋から出てきた。
トリア「いやぁ、案外、早く吐きましたね」
ロータ「・・・・・・そうか。で?」
トリア「呪術集団のアジトが分かりましたよ。まぁ、本人に
直接、聞いて下さい」

ロータ「ああ」
 そして、ロータ達は大人しくなったゴフサから、様々な情報を聞き出したのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
 ブリーフィング・ロームではロータの副官のドリスが説明をしていた。
ドリス「以上が、情報源から得た、アジト候補地だ。これをドルファ軍、警察と共に、叩く事となる。ただし、ドルファの軍、警察、共に、内通者が居る可能性が高い。よって、我々が主要部を叩いた、その後に-ドルファ軍、警察に連絡し、強襲してもらう事となる」
ドリス「すると、多少のタイム・ラグが生じる事となる。なので、極力、我々のみで、主要部を潰して-おきたい。アジト候補地で可能性が高いのはこの三つ。それぞれを、アルファ・ブラボー・チャーリーと呼称する事とする。そして、この三つの土地を同時に強襲するには、部隊を三つに分けねばならない」
ドリス「現在、我々が裏で動かせるのは、シャイン国防長官も言われた、一個中隊のみ。これを三つに分けて-任務を遂行せねば-ならない。均等に分けるなら、三個小隊に分ける事となる。つまり、一つの場所を一個小隊で制圧せねば-ならない事となる」
ドリス「情報源によると、敵にはレベル6相当の能力者が1名、居るとの事だ。決して気の抜ける相手では無い。今回の作戦はロータ大佐も参加されるが、作戦の性質上、ロータ大佐の手の及ばない地域も出て来る。なので、非常に厳しい戦いになる危険も十分にある。総員、気を引き締めるように」
 とのドリスの言葉に、ロータを除く全員が「了」と答えた。
ドリス「では、これから具体的な編成を発表する。まず・・・・・・」
 そして、ドリスは説明を始めていった。

 

 ・・・・・・・・・・
 その夜、ロータは与えられた執務室で作業をしていた。
 すると、ドリスが入って来た。
ドリス「失礼します、大佐」
ロータ「どうした大尉?」
ドリス「いえ、色々と思う所もありまして。何故、シャイン様はドータラン基地に連絡をしたのでしょうか?あそこはヤクト軍の管轄下ですが、ドルファ国の軍事基地です。当然、内通者も居るだろうワケでして」
ロータ「まぁ、何とも言えないが、これはドルファの問題であって、彼等(かれら)に話を通さずに行うワケには-いかないだろうさ。それに、強襲の具体的な時期や場所が漏れるワケじゃない。単に、強襲されるらしい、という事が敵に伝わっただろう-という事さ」
ロータ「そうすると、敵の選択肢は二つ。一つは逃げるか、もう一つは、待ち伏せ-するか。しかし、ここで-逃げる敵なら問題は無い。何故なら、そこには理性が働いているからだ。つまり、ヤクト軍と戦っても敵(かな)わないとの。こういう頭の良い敵は、アルビノ狩りを止めるだろう。何故なら、金をもうけるなら、他にいくらでも方法があるからだ。わざわざヤクト軍に目をつけられる商売をする-必要性は無い」
ドリス「なる程。となると、頭の悪い敵の方が問題ですね」
ロータ「それも何とも言えない。待ち伏せをするなら、敵の主力の能力者は全員、出張(でば)ってくるだろうから、一網打尽に出来るワケだ。もちろん、こちらが上手くやればの話だが」
ドリス「何事も無く、終わると良いのですが」
ロータ「まぁ、ポイント・アルファは私とマニマニが居るし、ポイント・ブラボーには大尉とホシヤミ君が居る。ポイント・チャーリーは-そもそも籠城には向いて無い場所だし、アジトの可能性も低い。しかも、こちらも-それなりの能力者を送るワケだ。なので、問題は敵の高位能力者が何処(どこ)に居るか、だな」
ドリス「ええ。しかし、何か不吉な予感もするのです」
ロータ「まぁ、いつもの事だ。ともかく、決戦は近い。お互い、しっかり休んでおこう」
ドリス「はい」

 

 ・・・・・・・・・・
 そして、作戦当日と-なった。
 深夜-零時、辺りは電灯も少なく、ほぼ闇といってもよかった。
 そんな中、ロータ率いる第一小隊は、ポイント・アルファへと到着していた。
 ロータ達は淡々と配置を完了させた。
 今回は、あちこちにスナイパーが配置されており、本格的に準備がされていた。
 ロータ達は暗視ゴーグルを付け、そして、建物の屋上へと昇った。
 そして、ロータの合図と共に、一斉に突入が開始された。
 次の瞬間、扉から爆発が起きた。
 しかし、ロータは-怯むこと無く、突き進んだ。
 敵はアサルト・ライフルを構えており、銃を乱射してきた。
 だが、次の瞬間には、ロータの剣により首を断ち切られていた。
 怒声と銃声と絶叫が響いた。
 外では、マニマニの放った重レーザーが逃げる敵を焼いていた。
 そして、数分後には、戦闘は終了していた。
士官「制圧、完了いたしました」

ロータ「ご苦労・・・・・・しかし、妙だ。軽すぎる・・・・・・」
 すると、戦竜のマニマニが小さくなって、ロータの元に飛んできた。
マニマニ「マニッ!」
 そして、マニマニは地面の一角を示した。
ロータ「ん?これは・・・・・・」
 すると、そこは隠し扉と-なっていた。
 その扉を開けた瞬間、中から、怨念とも言えるオーラが吹き荒れた。
 ロータの背筋に冷や汗が伝った。
ロータ「・・・・・・ここから先は-私とマニマニで行く。以後の指揮はアレン少佐に委ねる」
アレン「了解。大佐・・・・・・ご武運を」
ロータ「ああ・・・・・・。さ、行こう、マニマニ」
マニマニ「マニッ!」
 そして、ロータとマニマニは地下へと降りていった。
 それを兵士達は見送ることしか出来なかった。
士官「よろしかったのですか?我々も付いていくべきだったのでは・・・・・・」
アレン「いや・・・・・・恐らく、我々では足手まとい-にしかならないのだろう。それ程の能力者が地下には居るのだろう。ともかく、急ぎ、基地に連絡してくれ。最悪、ここを爆撃してでも、敵能力者を殺さねば-ならない」

士官「りょ、了!」
 と、答え、士官は急ぎ、基地へと連絡を取りに行くのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
 ロータ達は-しばらく地下通路を歩いていた。
 すると、急に視界が開け、大広間に出た。
 そこには一人の男がロータを待ち構えていた。
 さらに、その周囲には大勢のアルビノの女性が、はりつけに-されていた。しかも、女性達の体には触手が巻き付いており、女性達を責め続けていた。
ロータ「ずいぶんな趣味だな」
 とのロータの言葉に男は笑い出した。
男「フッフッフ。臓器を売られるよりはマシだろう。私は-こう見えて、フェミニストでね。女性には優しいのだよ」
ロータ「・・・・・・お前はゼクトか?」
男「その通り。ラース-ベルゼのゼクトだ」
 と、男は答えた。
ロータ「投降しろ。お前では、私には勝てない」
ゼクト「おっと、とんだ自信だな」
ロータ「見れば分かる」
ゼクト「フッ。まぁいい。それも事実かも知れん。だが、ロータ・コーヨ大佐。私を倒して本当に良いのか?お前は何も知らない。呪術集団アセロ・レグワナは私のおかげで、抑えられているのだぞ」
ロータ「どういう事だ?」

ゼクト「フム、何も知らんのか。そもそも、この呪術集団はお前が思っているより、遙(はる)かに怖ろしい。しかし-だ。彼女等は、私と契約を果たし、そして、今しばらく活動を弱めているのだ」
ロータ「だが、活動は活発化しているハズだ」
ゼクト「それは、表に出たからだ。ネット社会。加えて、
インフラの整備により、僻地の情報も都市部に
届く。お前は知らない。この国の本当の闇を」
ロータ「だとしても・・・・・・お前を許す理由には-ならない」
ゼクト「ロータ・コーヨ。取引と-いかないか?私達は、お前に手を出しはしない、基本的に、犯罪も自重しよう。ただし、アルビノ狩り以外のな」
ロータ「・・・・・・何故、そうまでアルビノ狩りに-こだわる」
ゼクト「私も好きでアルビノを狩っているワケでは無い。しかし-だ。アルビノには狩られる理由がある。ロータ・コーヨ。お前なら気付いているのだろう?」
ロータ「外見の違い、か?」
ゼクト「そうだ。アルビノの肌は白く、南方系のモノには-とても見えない。異質な存在は排除される。当然だ」
ロータ「しかし-だ。合衆国では様々な民族が共存している。同じ事が-この国でも出来ないとは思えない」
ゼクト「ハハッ。あそこは人種が混ざり過ぎているからだ。他にどの国がある?9割が単一民族で、1割以下が他民族の国家で、民族同士が共存している国が。ミズガルドを見ろ。陰で白人は移民を奴隷のように扱っている。ロータ・コーヨ。異分子は排除されるのだ。それは本能なのだよ」
ロータ「本能を越えれるのが・・・・・・人だと私は思う」
ゼクト「ハハッ。面白い。実に面白いぞ。だが、本能に捕らわれるのも-また人なのだ。そこで、快楽によがっている女共(ども)のようにな」
 と言って、ゼクトは高笑いをするのだった。

ロータ「言いたいのは、それだけか?少なくとも、私は外見で人を判断したりはしない」
ゼクト「フンッ。お前だって、内心、その隣で浮いている竜を醜く思ったり、しているのだろう?何だ、その竜は。これ程-醜い竜を私は見た事が無い。まぁ、能力は高いのだろうな。結局は戦争の道具として利用している-ワケだ」
マニマニ「マニ・・・・・・」
 と、戦竜マニマニは-しょんぼりとした。
 それをロータは優しく撫でた。
ロータ「確かに・・・・・・マニマニは一般人の美的感覚からすれば、少し、変わって見えるかも知れない。そう、ウチの-
隊員は変わった外見の奴が多くて、体が小さかったり、
逆に大きかったり-ゴツかったり、色々だ。それで、
外見にコンプレックスを抱いている奴も多い」
ロータ「だが、外見が何だ?人と変わってて何が悪い?美しくなければ-いけないのか?私からすると、モデルとか、そう言った作られた美しさを見ると、反吐が出る。逆に-このマニマニは、私は心からカワイイと思う」
マニマニ「マニ」
 そして、マニマニはロータに甘えた。
ロータ「ゼクト。お前は醜いな。醜く腐って見える。若い頃は美形だったのかも知れないが、年を取り、顔に性格が出てきたんだな。若い内(うち)だけ-というワケさ。顔なんて」
 とのロータの言葉にゼクトは顔を真っ赤にして怒り狂った。
ゼクト「ロータッ、コーーーーーーヨッッッ!」
 しかし、次の瞬間、ロータはゼクトを蹴り飛ばした。

 さらに、ゼクトの足にロータは剣を突き刺した。
ゼクト「ギャアアアッッッ!」
ロータ「・・・・・・弱すぎる。触手に力を使いすぎたんじゃないのか?」
ゼクト「ああ、あああああッ!チクショウッ!チクショウッ!もういいッ、お前、死ねッ、死ね、この馬鹿ッ!ファーーーーーーーッ!」
 と叫び、ゼクトは指を鳴らした。
 すると、奥の触手が蠢(うごめ)いた。
 そして、つぼみのように固まっていた触手が、花の様に開いた。
 中からは、南方系の女性が-ほぼ全裸で出てきた。
 彼女の放つオーラにロータは気圧された。
 その隙にゼクトは必死に逃げ出して、隠し扉をくぐり去って行った。
 しかし、ロータはゼクトに注意を向ける余裕が無かった。
女「ロータ・コーヨ大佐。君を待っていたよ」
 次の瞬間、膨大な魔力がロータを襲った。
 ロータは壁に激突し、血を吐いた。
マニマニ「マニッ!」
 マニマニは急ぎ、ロータに近寄った。

ロータ『問題ない。不意を突かれただけだ。魔力は-ほとんど、削られていない』
 と、ロータは口元の血を拭いながら答えた。
女「うん、いいね。殺しがい-がある」
ロータ「お前は何者だ」
女「私は魔女-ヨルダ。南リベリス一帯を治める魔女の王」
ロータ「魔女・・・・・・」
ヨルダ「君とは会いたかった。あのユメルを撃退した君に。彼女は私の妹分でね」
ロータ「ユメル・・・・・・」
 ロータは記憶をたぐりよせ、その凶悪だった敵を思いだした。
ヨルダ「そう、彼女だ。ラース-ベルゼに雇われて君と戦ったんだ」
ロータ「・・・・・・何故、アルビノを狩る。それ程の力を持ちながら、何故」
ヨルダ「何故かな?それが風習だからかな?もっとも、私も所詮は千年ほどしか生きてないから、その間で言う風習だけどね」
ロータ「千年・・・・・・」
ヨルダ「そう。まぁ、ランドシアの方に行ったりと、ここに定住してたワケじゃあ無いんだけどね」
ロータ「答えに-なっていないな」
ヨルダ「ふぅん、まぁ、ね。でもさ、何となくじゃ駄目なのかな?何となくアルビノがムカツクから狩る。それで十分なんじゃないのかな?たとえば、人は人を嫌い、イジメルものだけど、明確な理由が無い事も多いと思う。まぁ、何となく、というのが理由だよ。それに人を狩るのには理由が居るからね。狩る理由として、外見が違うというのは、とても分かりやすく団結しやすい理由だ」

ロータ「悪魔めッ」
ヨルダ「悪魔じゃ無くて、魔女なんだけどなぁ」
ロータ「・・・・・・なら、それでいい。魔女狩りを行うだけだ」
ヨルダ「ハハッ。魔女に向かって、その言葉を吐くかッ!よっぽど死にたいんだね、ロータ・コーヨッ!」
 次の瞬間、ヨルダから大地を鳴動させる程の魔力が吹き荒れた。
 それに対し、ロータは魔力を静かに高め、剣を構えた。
 そして、ヨルダの波動が次々と放たれ、戦闘が開始された。
 ロータは波動をかいくぐり、炎の魔弾を放っていった。
 さらに、マニマニが黒いレーザーを放ち、ヨルダの波動を打ち消していった。
ヨルダ「ハハハ、アハハハハッ、咲き誇れ、咲き誇れ、花々よ」
 ヨルダの言葉と共に、触手が歪み、花びらのようなモノをまき散らした。
 次の瞬間、ロータから炎の魔力が吹き荒れ、花びらは瞬時に燃え尽きていった。
ヨルダ「ふぅん、流石にレベル7と呼ばれる事は-ある。でも、年季が違うかな。招きましょう、私の世界へ」
 すると、周囲の時空間が歪み出した。
 そして、ロータ達はヨルダの個有結界である亜空間へと閉じ込められた。
 そこは薄桃の花々に囲まれた、異様な空間だった。

ヨルダ『ようこそ、私の世界へ』
ロータ『焼くぞ、マニマニ』
マニマニ『マニッ!』
 そして、ロータとマニマニの波動が重なり、次の瞬間、
周囲は赤黒い波動で吹き飛んで行った。
 それをヨルダは笑みを浮かべながら見ていた。
 ロータは一気にヨルダへと距離を詰め、炎の魔剣を振るった。
 それをヨルダは触手で防いだ。
 しかし、次の瞬間、ロータとヨルダの魔力が共鳴し、ロータの意識は白に包まれた。

 

 

 そこは 記憶の 世界 だった。
 ロータとマニマニの前世は、一人の女と旅をしていた。
女「殺す、殺す、殺す・・・・・・あぁ、最高ね。かつて大切だったその子達を、自らの手で壊し殺す-というのは・・・・・・。ねぇ、ロー、マニ。そう思うでしょ」
 と、女はロータとマニマニの前世に対し言った。

 

女「モルガナを殺すには、使徒ソルを何とかする必要があるわ。ロー、貴方がソルを足止めするの。モルガナは私とマニで殺すわ」

 

 ローとソルは剣をぶつけあっていた。
ソル「何故だッ!ローッ!お前程の者が何故、このような殺戮に加担するッ!ローッ!」
ロー「私は・・・・・・」

 

 世界が崩れていった。
 世界がヒビ割れていった。
 そして、そこから巨大な瞳が覗き込んだ。
 さらに、巨大な手が突き出て、世界をさらっていった。

 

 病院にローは一人の男と居た。
ロー「楽しんでいた。楽しんで居たんだ。私はッ。所詮は、ゲームだと思っていた。遊びだと。でも・・・・・・違った。違ったんだ」

 

男「ロー。俺は嬉しいよ。今まで、全てにおいて、達観していた-お前が、心の底から、全力で戦う覚悟を決めたというのは。それが-どのような結末に至るのだとしても、俺はお前を応援するよ」

 

機械人形「ローッ!分かっているのか?三百にして一なる不死の王を裏切るというのかッ!」

 

 軌道エレベーターが作動していた。
司祭「今こそ創世の時。世界は新たな女神をコアとして、再誕される・・・・・・」

 

 軌道エレベーター上では、死闘が繰り広げられていた。
 竜マニに乗ったローは、女神と化した女の波動を必死に防いでいた。
 波動の激しさは増すも、同時に高度も増し、ローとマニの展開している封印の結界も構築されていった。
 辺りは次第に暗くなっていった。
 マニとローは凍り付くような暗い闇の中、ついに動けなくなっていた。
 しかし、その頃には、敵の波動も封印されており、何もかもが凍り付いていた。
マニ『マニ・・・・・・』
ロー『ごめんな・・・・・・マニ。こんな事に・・・・・・付き合わせちゃって・・・・・・ゴメンな・・・・・・』
マニ『マニ・・・・・・。大好き。ジイジ、大好き』
ロー 『ハハ。ジイジって歳でも無いけど・・・・・・。マニ。ジイジもマニちゃんの事、大好きだよ』
マニ『マニ』
 そして、二体の魂は闇の中に沈んでいった。

 

 

 ロータの意識は現実に戻った。
 それと共に、ロータとヨルダの魔力は、共鳴から爆発へと
移行した。
 そして、ロータとヨルダは吹き飛ばされた。
ロータ「クッ・・・・・・」
 ロータは何とか、上手く着地した。
ロータ(今のは・・・・・・私の過去生?だとしても、何故、今?)
 それに対し、ヨルダは虚空を見つめ、あっけにとられていた。
ヨルダ「そうか・・・・・・そうだったのか・・・・・・私、私は-ずっとお前を探していたんだ。ロータ・コーヨ、お前を。姉様を裏切った-お前を」
ロータ「姉様?」
ヨルダ「ハハ、アハハハハ、目が覚めた気分だ。全霊を持って
    お前を殺そう、ロータ・コーヨ」
ロータ「殺そう-なんて言っているウチは二流なんだよ。あぁ、そうだ。言い忘れてた事が-ある。お前がアルビノを殺す理由が分かった気がする。それは白人コンプレックスだな。肌が白いのが-うらやましいんだろ?愚かな事だ。自分に誇りを持てないんだ、お前は」
ヨルダ「ハハ。アハハハハッ、ロータ・コーヨ。お前は、余程、凄惨な目に遭いたいんだね。いいよ、いいよ、とっても、楽しい目に遭わせてから、それから、それから、それから、じっくりと殺してあげる」
ロータ「そういうのは殺してから言えと言っている」
ヨルダ「・・・・・・消えろ」

 次の瞬間、周囲は白い闇に覆われた。
 そして、白い波動がロータとマニマニを襲った。
 ロータとマニマニは防御の結界を張るので精一杯だった。
ロータ(マズイ・・・・・・これは、想像以上だ。だが・・・・・・、やるしか-ないさ。いつだって、な)
 そして、ロータは札を取りだした。
ロータ『善男子、善女人よ、良く如来の秘密深奥(じんおう)を知り、不動の心を生ずべし。しからば、仏・法・僧は滅する事無く、常住なり。その功徳、汲めども汲めども、尽きる事無く、善光あまねくを照らす』
 すると、ロータの周囲から黄金の光が生じ、白い光を
打ち消していった。
ロータ『暗雲、月を隠すも、滅すこと能わざるが如(ごと)く、この聖典も無量の大涅槃の威神力により、滅すこと能わざるなり。この経を名付けて、月聖品(げっせいぼん)とす』
 次の瞬間、月の如(ごと)き光がロータから放たれた。
 そして、ヨルダの体は-その咒(じゅ)の霊力により、吹き飛んで行った。
 亜空間は砕け散り、ロータ達は元の空間へと戻って行った。
 見れば、ヨルダの体は歪み、黒い闇が体から-にじみ出ていた。
ヨルダ「あぁ、あああああ。私、私の体。分からない。私は」
 すると、ヨルダの体は一気に膨れあがった。
 そして、新たな亜空間が形成されていった。

 そこはヘドロのような闇で埋め尽くされた空間だった。
 そして、ロータとマニマニは成すすべもなく、闇に飲み込まれていった。

 

 暗闇の中、ロータの魂は沈んでいった。
ロータ(あぁ・・・・・・終わりか・・・・・・何も見えない。何も)
 しかし、鼓動が聞こえた。
 それはロータの鼓動であり、マニマニの鼓動であった。
ロータ(マニ・・・・・・また、道連れにしてしまった・・・・・・。私は最悪だ)
『何、諦めてるんですか、隊長?』
 との女性の言葉がした。
『そうですよ。俺達の分まで生きてくれないと』
 との、男性の声が。
ロータ『お前達』
『隊長』『ロータ隊長』
 との-かつての部下達の声が響いた。
ロータ(あぁ、そうだな。諦めるのは-いつだって出来る。抗おう。最後の最後まで抗い続けよう。生きよう。生きていこう。この狂おしくも美しい世界を)
 そして、ロータの周囲に光が-あふれた。
 闇の中、細い光の道が生まれた。
 そこをロータはマニマニを抱えながら、必死に進んで行った。

ロータ(光・・・・・・光だ。今にも消えそうな程、か細いけど、確かに繋がっている。この先に・・・・・・)
 しかし、どれ程、進もうと、出口は見えなかった。
ロータ(駄目なのか?この道が正しいハズなのに。でも)
 すると、手が差し伸べられた。
 ロータが顔を上げると、そこには、目隠しをした青年の姿が
あった。
ロータ『あ、ああ・・・・・・皇子殿下・・・・・・いえ、陛下・・・・・・』
 と、ロータは言葉を漏らした。
クオン『ロータさん、シャインを助けて-あげて下さい。どうか』
ロータ『はい・・・・・・はい。必ず』
クオン『マニマニちゃん-も、シャインと仲良くしてあげてね』
マニマニ『マニ、マニュ』
ロータ『クオン陛下・・・・・・』
そして、ロータはクオンの手を取った。
 次の瞬間、辺りは光で包まれた。

 

 ヘドロのような暗闇の中から、ロータとマニマニは脱出した。
 それに対し、ヨルダは絶叫しながら、唄(うた)の波動を放った。
ロータ『マニッ!』
マニマニ『マニュッ!』 
 次の瞬間、ロータとマニマニの波動は重なり合い、レーザーと化した。
 その黒いレーザーはヨルダの波動を貫き、一閃した。
 そして、ヨルダの体は真っ二つに割れていた。
ヨルダ『あ、ああああ・・・・・・そんな、こんな事が・・・・・・。ロータ・・・・・・コーヨ。決着は、お前との決着は、黙示録の時まで、預けよう・・・・・・』
 そう言い残し、ヨルダの体は弾けていった。
 それと共に、亜空間は砕け、ロータとマニマニは元の空間へと戻って行った。

 

 ・・・・・・・・・・
ロータ「今日もジャングルは蒸し暑いなぁ・・・・・・」
マニマニ「マニュー」
 ロータとマニマニは-ハンモックの上でゴロゴロしていた。
ロータ「虫もいっぱい居るなぁ」
マニマニ「マニー・・・・・・」
 すると、一人の兵士が駆けて来た。
ドリス「あぁ、大佐。こんな所に-いたんですか?」
ロータ「いやぁ、頑張りすぎて、疲れちゃってさ。いやぁ、ほんと、良く生き残れたなぁって」
ドリス「ともかく、書類が-たまってるんです。大佐のハンコが無いと-いけないんです。急いで戻って下さい」
ロータ「はいはい。じゃあ、いこうか、マニマニ」
マニマニ「マニュ」
 そして、ロータ達は歩いて行った。

 

 ・・・・・・・・・・
トリア「久しぶりですねぇ、ゼクト」
ゼクト「・・・・・・トリアか。フン、無様なモノだ。上手く逃げられたと思ったのに、ロータの毒で結局、体が痺れて動けなくなるとは」
トリア「まぁ、人生そんなモノでしょうとも」
 すると、トリアの体から触手が生えだした。
ゼクト「待て、何をするつもりだ」
トリア「いやぁ、今回の功績が認められ、限定的に触手能力を
    使う事が認められましてねぇ」
ゼクト「馬鹿、やめろッ!おい、や、やめてくれーーーーッ!」
 との絶叫が、部屋に響くのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
女性司会「皆様、本日の目玉商品です。アルビノの双子の少女です。煮るも焼くも、飾るも良し。さら」
 すると、武装した警察が会場に突入してきた。
武装警察「公安だッ!全員、両手を挙げ、すみやかに投降せよ!」
 との言葉に、会場は騒然とした。
 すると、サングラスを掛けた男が、怒鳴った。
男「テメェらッ、分かってんのか?ここが誰のシマかを。余程、命が惜しいみたいだな」
武装警察「分かっていないのは貴様だ。貴様等こそ、ドルファ、そして、ヤクトの軍を相手に戦う覚悟があるのか?」
 との言葉に、サングラスの男も黙るしか無かった。
武装警察「さぁ、さっさと全員、連れて行け。このクズ共を一刻も早く、牢獄にぶち込んでやれ」
 すると、アルビノの少女達が警察に近寄った。
武装警察「もう、大丈夫だ。もう・・・・・・」
 との言葉に、少女達は、安堵のあまり、泣きじゃくるのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
ロータ「以上が、事後報告です」
 と、ロータはテレビに向かって話した。
シャイン『そう。良く-やってくれたわ。でも、これからが肝心ね。ヤクト軍が居なくても、大丈夫なように。それに、未だ陰では、アルビノは狩られているでしょうしね』
 と、テレビ画面の向こうでシャインは答えた。
ロータ「まぁ、向こうの警察や軍と連携して、出来る限りの事をしていきたいと思います。工兵もインフラ整備に-やる気を出しちゃってますし」
シャイン『そう。予算は送るわ。好きなだけ、請求して構わないわ』
ロータ「いやぁ、貧乏性なモノでして。今もらってる額で十分ですよ」
シャイン『そう。それは良いことね』
ロータ「ところで、シャインさん、実は話しておこうか迷っている事が-ありまして」
シャイン『何かしら?』
ロータ「いえ、その・・・・・・実は戦闘中、死にかけた時、クオン陛下の姿を見まして・・・・・・」
シャイン『・・・・・・そう。彼は・・・・・・どうしてた?』
ロータ「いえ。何と言うか、輝いて見えました。それと、シャインさんの事を案じておられました」
シャイン『・・・・・・そう。じゃあ、切るわね。ご苦労様でした』
ロータ「いえ」

 と、ロータが答えるとテレビ会談の回線が切れた。
ロータ「フゥ・・・・・・。シャインさん、目、うるませてたな」
 と、呟くのだった。

 

 ・・・・・・・・・・
 満月の元、一人の魔女が歩いていた。
 そして、その魔女アイシャの進む先には、つぼみが-あった。
アイシャ「ヨルダ。こっぴどく、やられたわね」
 すると、つぼみが開き、半身のヨルダが現れた。
ヨルダ「アイシャ・エル・アークライア・・・・・・。君は、招かれざる客なんだよ」
アイシャ「でも、それを拒む力も今の貴方には無い」
ヨルダ「・・・・・・認めよう。その通りね」
アイシャ「フフッ、でも、仕方無いわよ。狂戦士ロータ・コーヨ。彼も-また選ばれた存在。しかし、彼は既に、三人と出会っている。この先、残りの魔女と出会う事は-あるのかしら。もっとも、魔女として自覚してないモノも居るけど」
ヨルダ「・・・・・・あぁ、ニュクスの」
アイシャ「ええ。とはいえ、魔女モルガナと出会うのは非常に難しいでしょうし、それに、この星には居ない魔女も居るワケですしね」
ヨルダ「姉様・・・・・・」
アイシャ「まぁいいわ。ロータ・コーヨ。彼が-かつてのように六人の魔女と出会った時、何が起きるのか。いえ、七人の魔女・・・・・・だったわね」
 そう言って、アイシャは薄く笑うのだった。

 

 

 To be continued in “Akasha MythologyU”

 

アーカーシャ・ミソロジーUにて。

 

 

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